2018年4月5日

欧州ヨーロッパの食文化|イタリア・アマルフィ海岸が生んだ熟成の知恵…コラトゥーラ・ディ・アリーチ

世界中で大人気のイタリア料理ですが、一般的に知られていない食材はまだまだたくさんあります。地方色が濃いイタリアの文化では、料理も各地特有の特徴があり、風土に適した食の文化が発達しました。

今日ご紹介するのは、南イタリアはアマルフィ海岸が生んだある食材です。

その名は、コラトゥーラ・ディ・アリーチ

アマルフィ海岸の食卓から生まれた熟成食材

コラトゥーラ・ディ・アリーチとは、日本では「魚醤」と紹介されることが多いようです。

イタリアでは、古代ローマ時代から存在していた「ガルム」という食材の子孫と考えられており、生産地は南イタリアカンパーニア州のサレルノ県、チェターラ。

見た目は、琥珀色をした透明な液体です。

原料となるのはカタクチイワシ。このイワシ漁は、聖母マリアのお告げの祝日3月25日からマグダラのマリアの祝日7月22日まで解禁。いかにも、信仰心が深い南イタリアらしい慣習です。

カタクチイワシは漁獲されると、頭部と内臓を除去し、24時間豊富な海塩に漬け込まれます。

その後、栗の木かオークの木でできた小さな樽に移され、塩とカタクチイワシを交互に層に積み重ねて熟成します。時間の経過とともに、カタクチイワシは縮小していき、樽の表面に液体が上がってきます。

いわゆるアンチョビを生産する際には、この液体は廃棄されてしまうのですが、コラトゥーラを作るためにはこの液体が基本になるのです。

この液体は、大きなガラスの瓶に移され、直射日光に当てられます。こうすることで、水分は蒸発して、液体がより凝縮していくからです。

4~5ヶ月後、具体的には10月から11月になると、この液体はふたたびカタクチイワシが貯蔵されている樽に戻されるのです。こうして風味をさらに増した液体は、リネンの布で濾過されて、12月の初頭に完成します。

コラトゥーラの歴史

コラトゥーラ・ディ・アリーチの歴史は、古代ローマ時代にまでさかのぼるといわれています。

製法も、現在のそれとほぼ変わらないのだとか。当時は「ガルム」と呼ばれていました。

その起源は、推測では北アフリカの海岸沿いといわれています。紀元前3世紀から2世紀にかけて、共和制であったローマは北アフリカの強国カルタゴと戦争を繰り広げていました。

この戦争中に、アフリカ大陸からイタリア半島に「ガルム」が到来したと考えられています。

当時は大変な貴重品で、ローマの富裕層が野菜や肉、魚料理に味つけとして使用していました。紀元前から西暦にかけて活躍した美食家アシピウスも、ガルムについて著作で触れています。

ローマ帝国が滅びたあともガルムの生産は南イタリアで持続し、13世紀半ばにトゥクゾロのサン・ピエトロ修道院の僧によって、現代の「コラトゥーラ」に近いものができあがったそうです。

この修道院、漁のための小さな船団を有しており、大量のイワシを漁獲できたのだそうです。

内蔵を除去したカタクチイワシだけを使ったり、液体を熟成したり、できあがりの際に布で濾過する方法はこのお坊さんたちの知恵から生まれたようです。

その後、800年近くもの間コラトゥーラは家庭内での消費に限られていました。

魚介類が足りないときにパスタをコラトゥーラで味つけするなど、南イタリアの庶民の台所から外に出ることはなかったのです。

1990年代になって、そのおいしさや健康的な有益性が見直され、コラトゥーラは大ブームになりました。

魚介を食べることになれている日本人にとっては、非常に使いやすく食べやすい食材で、イタリアのおみやげとしても人気です。

コラトゥーラ生んだチェターラとは

映画「アマルフィ 女神の報酬」で有名になったアマルフィ海岸。

青い空と海、点在するレモン、中世の面影を残す街並みが美しく、海外からの観光客も多い港町です。

アマルフィは、現代のイタリア海軍機にその町の紋章が残るほど歴史ある海洋都市であり、1997年にはユネスコの世界遺産にも認定された美しい街でもあります。

チェターラは、アマルフィから海岸沿いを車で1時間弱サレルノ方面に向かったところに位置します。

今でこそ、夏はバカンス客でにぎわう港町ですが、もともとは漁村の域を出ない人口2000人ほどの小さな街。貧しかった時代に、コラトゥーラはそれこそこの街の人々の台所の必需品であったのです。

コラトゥーラ・ディ・アリーチの使い方

イワシのうま味をこれでもかと凝縮したコラトゥーラは、大変塩辛い液体。そのため、一度に使用する量に注意する必要があるほどです。

まず、もっとも一般的な使い方は「スパゲッティの味つけ」。こんなに楽でいいの?というその方法とは、これです。

コラトゥーラを使ったスパゲッティの味つけ

    材料(4人分)

  • スパゲッティ 400グラム
  • エキストラ・ヴァージン・オイル  大さじ2杯
  • ニンニク  一片
  • コラトゥーラ・ディ・アリーチ 大さじ2~3杯
  • イタリアンパセリ(プレッツェーモロ) 適量
  • 唐辛子  お好みで

①大きめのボウルに、スパゲッティ以外の上記の材料を混ぜる。ニンニクは少しつぶして、イタリアンパセリは手でちぎって入れる。

②スパゲッティを茹でますが、この際は塩は入れないこと。これは鉄則です。

③茹で上がったパスタをボウルに入れてよくかき混ぜてできあがり。

まとめ

シンプルなコラトゥーラのパスタ、本当に簡単にできて大変なおいしさ。やみつきになります。

そのほかにも、ほうれん草などの野菜、卵料理の味つけとしてもおいしく召し上がれます。コラトゥーラを使用する際は、くれぐれも塩は入れないようにしてください。

チェターラの人々は、肉料理が禁じられている12月24日の晩餐に、このパスタを食べるのが習慣になっているのだとか。

また、昨今の研究では良質なタンパク質や脂肪酸が多く含まれていることが明らかになり、健康上の理由からもコラトゥーラは見直され、スローフードの認定も獲得。

日本人の我々は、お醤油の代用品としていろいろな食材と楽しむことができます。卵かけご飯に、お醤油がわりに入れてもおいしいんですよ!

(文章・ライティング:cucciola)

Twitterの反応

海外の反応


(動画引用・出典:Youtubeチャンネル「Acquapazzacetara」 – 「チェターラで作られる伝統的なコラトゥーラの製法」より)

Lea moretti Lisa「マンマミーア!良い仕事してる!」

luca capozzi「おい君、コラトスーラのにおいがするぞ!」

Mark Kram「まさに職人技のなせる味だね」

Gaviano Fernando「イタリアは宝の山だなぁ」

TheMasterOfCook「偉大なる情熱を感じるよね」

Giuseppe Fanara「スペインから、つい昨日コラトゥーラを買ったよ!」

(引用・出典:Youtubeコメント欄より翻訳 – https://www.youtube.com/)

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