2018年3月19日

ヨーロッパのスロー・ライフ、スロー・フード

スロー・フード」という言葉が闊歩し始めて久しいですね。

ファースト・フード」という言葉や概念と相対する意味で使われる「スロー・フード」。

ファースト・フードが世にあふれることを懸念したイタリア人が提唱した、「本来の人間らしい食生活や生活スタイルに戻ろう」という思想です。

この思想が生まれたイタリアやスペインは、働き者の日本人から見るととんでもなく怠け者の国、という印象とお持ちのかたも多いのではないでしょうか。

その根拠となる習慣のひとつに「シエスタ」があります。南欧の人々は、どんな「スロー」な生活を送っているのでしょうか。

昼食後の眠くなる時間は「休む」のが人間的?

ヨーロッパを旅行してよく聞く「シエスタ」。

これは、古代ローマ時代の時刻の数え方の名残で、「第六時」の意味です

にほんの「おやつ」と感じとしては似ています。

イタリアやスペインは地方によって異なりますが、一般的に昼食をとるのが1時から2時。

そのあと、睡魔に襲われるから効率が悪くなる時間は仕事をしない、という習慣なのです。

とくに夏期、もっとも気温が上がる時間はシャッターどころか雨戸まで降ろして家の中に閉じこもってしまうのです。

さすがに近年は、グローバル化の影響をうけて大都市では午後に休業するところは少なくなりました。

しかし、郊外の小さな街、大きな都市でも日曜日の午後は「長い昼休み」をとる習慣が現在でも残っています。

この習慣が効率的なのか非効率的なのか、これは皆様のご判断にお任せしましょう。

しかし、夏時間が存在して夏は夜遅くまで楽しむ習慣がある南欧の人々には、夜更かしのためにこの昼休みは有益なのかもしれません。

カタツムリがトレードマーク「スロー・フード」


(動画引用・出典:Youtube公式チャンネル「Slow Food」 – 「スロウフード、良質で、清らかな、誰のためにも良い食事」より)

現在ではすでに耳慣れた言葉「スロー・フード」。

この言葉の生みの親は、北イタリア出身のカルロ・ペトリーニというひとです。

カルロ・ペトリーニは社会学者でありいかにも学者らしい風貌の男性ですが、両親は鉄道業と農業に従事していたそうですから、子供のころから伝統的なイタリア人の家庭でおいしい食事をしながら成長したのでしょう。

彼は、ファースト・フードやジャンクフードが跋扈するのを深く憂い、伝統的な農業技術、食文化を未来に伝えていくことの大切さを世に問うたのです。

スロー・フード協会の誕生は1986年。

若者にも祖先が営々と築いてきた食の文化を伝えなければならない、環境への配慮も怠ってはいけない、というペトリーニの思いは、またたくまに世間の人たちの共感を得ることになったのです。

とくに、食へのこだわりが人一倍強いイタリア人にとっては、スロー・フードは馴染みやすいポリシーでもありました。

ちなみに、イタリアのある田舎町ではマクドナルドが閉店しました。

理由は、そのとなりに焼きたてのパンやチーズ、サラミ、生ハム類を売るお店があり、値段はよりやすく比べものにならないほど美味であったことが理由です。

あるイタリア人のスロースローな一日

ここに、イタリアでは「パエーゼ」と呼ばれる小さな街に住む一人の男性がいると想定してみましょう。

名前はジーノ、左官工45才。

前夜に夜更かしをしたというのに、ジーノの朝は早く、馴染みのバールでカプチーノとクロワッサンの朝食を取ります。

バールには、ほぼ毎日同じ顔が揃うから、ほぼ30分はここでだべることになるのです。

左官の仕事はほぼ日雇い、そして雨の日は仕事ができません。だから、晴れた日は身を酷使して働くことになります。

10時過ぎに休憩。今度は、バールでカフェを一杯。

この「カフェ」は、日本でいうところのエスプレッソです。砂糖をたっぷり入れてエネルギー補給です。

昼食は1時。自宅に戻ると、妻がてんこ盛りのパスタを用意して待っています。

自家製のワインを飲みながら、パスタとこれまた山のようなサラダを食べ、食後はふたたびカフェ。

居間のソファーで横になったジーノが目をさますのは4時。

2時から4時のあいだは、町の法令で大きな音を出す工事は禁止されているところも多いのです(もちろん、午後のお休みを妨げないためです)。

ジーノの仕事場所が遠いときは、妻がパニーノをお弁当に持たせてくれます。

固めのパンに、塩味のきいたペコリーノチーズと生ハムが入った素朴なパニーノです。

4時半に現場に戻ると、あとは日没近くまで働きます。

ちなみに、イタリアでは歴史的建造物などの観光地の閉館時間も「日没時」と明記されていることが多く、外国からの観光客を面食らわせています。

仕事を終えたジーノは、ふたたびバールによって今度はビールを一杯。

贔屓のサッカーチームの話で盛り上がり、政治家の悪口を語り合い、自宅に戻ります。

妻がジーノと3人の子供のために用意していたのは、近所の市場で仕入れてきた特大のステーキ。

塩とオリーブオイルだけで味つけしたステーキとトマトのサラダ、近所のパン屋が薪を使った釜で焼いたパン、これらをこれまた自家製のワインでたらふく食べたあとは、またバールへ。

今夜はサッカーの試合があるので、バールのテレビで一杯引っかけながら試合観戦。

家に帰れば、子供たちの世話を押しつけられた妻の愚痴を聞かされますがこれも日常茶飯事。

平和な田舎の町の光景です。

ヨーロッパのスロー・ライフ、スロー・フード

勤勉な日本人から見ると信じられないくらい暢気なお国柄の南欧ですが、それ故の社会問題とも無縁ではありません。

ただ、日常のペースがこのようにゆっくり過ぎていくと、少々の問題では動じないくらいの胆力が備わるようになります。

どちらにも一長一短、南欧に来てもイライラしないでスローな時間を楽しんでください。

(文章・ライティング:cucciola)

Twitterの反応

海外の反応


(動画引用・出典:Youtube公式チャンネル「Rick Steves’ Europe」 – 「イタリア・トスカーナ地方の古代のスロー・フード」 より)

smartdave599「友人のシェフは新鮮なトリュフで、ジュース、ソース、そして油までつくってしまった。ちょっとした狂気だよね。」

scholion「僕は世界中を旅したことがあるけど、トスカーナの料理は地球で最も素晴らしいと言わざるを得ないよ!」

Allianoi Atay「イタリアは昔ながらのエコロジーな手法で牛を育てるんだよね。僕はトルコ人だけど、イタリアのこういうところに嫉妬を感じちゃうよ。」

California Travel Tips「この動画見てるとおなかが減ってくるわ。」

(引用・出典:Youtubeコメント欄より翻訳 – https://www.youtube.com/)

関連記事

 あなたへのオススメ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA